修了生インタビュー
渡邊 涼一 | |
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インタビュアー | |
![]() 清水 大地 |
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イントロ
清水:それでは、渡邊さん。今日はよろしくお願いします。 今回は僕の同級生で、国際公共政策学位プログラム修士課程を2021年度に卒業された渡邊涼一さんにお話しを聞いていきます。 このインタビューシリーズでは、現在研究者として活躍されている方々や、社会人として働いている方を取り上げて、国際公共政策学位プログラムってどんなところだったか、修了生が今どう生きているのかをまとめて発信していきたいなと考えています。 |
渡邊:よろしくお願いします。 |
清水:僕ら普通に友だちだから、インタビューって形式で話すの、なんか緊張するのだけど、何とかその辺を押し殺してインタビューを進めていくね。 |
渡邊:はーい、お願いします。 |
Youは何しに筑波へ?
清水:筑波大で、渡邊さんが何をしてきたかっていうところを聞いていきたいのですが。そもそもなんで筑波大学の大学院に入ろうと思ったか聞いていいですか? |
渡邊:私の場合は学類のころから筑波大学にいました。そこからずっと面倒を見てくれていた、自分のやりたい分野の先生がまずいらっしゃって。 それで、そのままの流れで大学院でも指導していただきたかったので、自然と筑波大学の大学院が第一候補に挙がりました。 |
清水:なるほど。どの大学院に行くか決める時、先生の要素は大きいですよね。 |
渡邊:その他にもいろいろ理由はあるんですけど、例えば現実的な話をするとつくばっていう町がお財布に優しい、住みやすいと言うところがあって。もちろん都内の大学とかにも自分のやりたいことができる大学院はあったと思いますが、そういうところに住んでしまうと、金銭面で非常に苦労すると考えていました。それもあって筑波大学の大学院が候補に挙がっていたというところがあります。 |
清水:実際住んでみると、いろいろ安いですよね。スーパーも家賃も安くて、生活費があまりかからなくて助かりますよね。自分も、もし東京の都内の大学行ったらどうなるんだろうって考えて正直ヒヤヒヤしたので。 |
渡邊:あと、ちゃんと確かめたわけではないですが、筑波大学だとゆとりある施設の使い方ができるのも魅力的です。 附属図書館に研究個室が用意されているし、国際公共政策学位プログラムが入っている3K棟に院生室がありますよね。広々とした空間で研究ができるという点で、環境面も非常に魅力的でした。 |
清水:ありがとうございます。 その辺の理由って、僕らの世代がコロナのパンデミックに直撃したっていうのもあって、密にならずに研究に集中できる筑波大学の環境は、凄く助かりましたね。 |
渡邊:本当にそうだと思います。 あとはやっぱり一番の魅力として、いろいろな分野の先生が揃っていることは挙げておきたいです。 大学院に進学するにあたって、地元の大学院も含めて、日本全国いろんなところの大学院について調べたのですが、やっぱり筑波大学はその中でも幅広い分野の教員・研究者が揃っていると思います。 |
清水:なるほど、ありがとうございます。渡邉さんは、だれ先生の指導を受けていたのでしょうか? |
渡邊:赤根谷達雄先生です。 赤根谷先生にメインの指導を受け、その他に松岡完先生と南山淳先生から指導を受けていました。 私の関心は国際関係論の理論研究にかなり傾いていて、そうした面では赤根谷先生と南山先生から詳細な指導とかアドバイスを受けていました。 |
清水:この国際関係の理論ってどういうことやっているんですか? |
渡邊:私は、英国学派の国際社会論をテーマに、抽象的な概念を扱う分野をやっていました。 正統性のような観念的な概念や、そもそも国際関係をどうとらえて議論できるのか?みたいな方法論の話に感心を持っていました。 |
清水:そう、なんだよな。渡邉さんやっていたこと毎回難しかったんだよな… |
今の仕事、大学院での生活で今に生きていること
渡邊:私が今やっている仕事ですが、自分のこれまでの研究とは全く畑の違う、エンタメ業界の企業に勤めています。仕事内容としては海外営業です。 |
清水:大学院でしていた専門分野とは遠そうなことをしていますが、やっていたこととの関連性はあったのですか? |
渡邊:大学院との関係性は率直にいうと、本当にないですね。 もちろん自分としては、どっちもやりたいことだったので、大学院を出たあとこの仕事に就いたことについては自分の中で一貫性は取れていますが、ぱっと見だと本当にまったくもって関係のない会社に勤めています。 |
清水:どういった理由で今の仕事をやりたいと思ったのですか? |
渡邊:もともと自分が好きだった作品を作っている会社に勤めています。 自分に影響を与えたというところで興味があって、この会社に入りました。 |
渡邊:どうして大学院までいったのに、専門性のある仕事に就かなかったのかとよく聞かれるのですが、僕は純粋に自分の気になることをしてきて、研究をもうちょっとしたいなと思っただけの理由で大学院に入ることを決めたんです。 |
清水:なるほど、本当に自分の知的好奇心を満たすために大学院に来たんだ。 |
渡邊:そうですね。完全に自分の興味と好奇心を満たすために、大学院に入りました。それと本当に同じ理屈ですが、興味があったから今の会社に勤めることを決めました。 |
渡邊:そもそも、あんまり大学院でやったことをフルで生かして専門的なところに行こうとは思っていなかったというのもありますね。 |
清水:お話を聞いていると、渡邉さんは、自分の興味を追求するっていうことに関しては全然変わっていないですよね。それに、インタビュー外で話していた時も思ったんですが、情報の集め方がうまいし、いろんなことについて知識を蓄えていますよね。 |
渡邊:そう言ってもらえると嬉しいです。情報の収集と整理の仕方は、大学院で学んだからこそだと思います。 自分の専門知識の多い少ないでその大学院に行った価値があるとか、そういうことじゃなくて、大学院に行って研究も修士論文を書き上げるプロセスの中で得られる汎用的なスキルが、本当にあると思うんですよ。私も学生のころ大学の方からそう言われたときは、「本当かな」と思いましたが…。 |
清水:具体的に言うと、どんなスキルを大学院で得られたのですか? |
渡邊:まずは情報の取捨選択と課題を発見する力ですね。 論文・ジャーナル・英字新聞とかを使ってたくさんの情報を集める。その時、ただ読むだけじゃなくて、自分の持っている知識や自分の興味・関心と照らし合わせて情報の取捨選択をしながら、「あ、じゃあこういった問いを立ててみよう」って考えられるようになると思います。 更に情報を集め、議論を組み立て、、なんとかそれを形にして…。このプロセスを経験することは、良い訓練になると思います。 |
清水:僕も経験したのでわかるのですが、正直この作業かなりキツイですよね…。 |
渡邊:そうですよね…。でも、この大変さを知っている人は、きっとそこで培ったものを何かしらの形で生かすことができるのではないかなと思います。 進学するにしろ、私のように全然関係のないところに就職するにしろ、この訓練を2年間やったことはいい財産になると思います。 |
清水:修士論文の過程って、作ったものが良かったかどうかっていうのは一旦置いといて、そのプロセスで得た能力っていっぱいあるなと思います。頭の中の処理能力が凄く上がったし、考えることに対するキャパシティーがすごく増えたというか。 |
渡邊:考える態度やプロセスを少しでも知れるというのはすごく大事だと思います。 「考える」って言っても「どう考えたらいいのか」も考えないといけないですから…。本当に難しい作業ですよね。 体系化された仮定や手法といった手続きを踏まえることで、「あー。なるほど。そのプロセスをちゃんと踏まえているんですね」って納得してもらえるだけの根拠や説得力が生まれると思います。 |
思い出系
清水:それじゃあ質問を変えて…大学時代の印象に残っている思い出ってあります? |
渡邊:大学ではいい人に沢山出会えました。 サークル活動で言うと、落ち着いた雰囲気の芸術系サークルに入っていたんですけど、そこのメンバーとも楽しい時間を過ごしていました。 |
渡邊:大学も信じられないくらい広くて、そのせいで大変なこともあったけど、景色は綺麗でしたよね。 |
清水:綺麗だね。 |
渡邊:本当に環境は良かったと思います。 あと大学院に入ってからは、学部時代と比べて先生との距離が近くて驚いきました。 |
清水:たしかにたしかに。 院生になって、ましてや博士課程になったら余計近くなった感じがある。 |
渡邊:たぶん博士課程に入ってから2年、3年と経っていくと本当にそこでしかできない話とか、そこの立場にならないと見えないものを共有するようになるんでしょうね。学会で発表するとか論文を出すとか、いろんな機会があるから。 これまで学生という立場で教えてもらう側だったのが、博士課程までいくと、先生との関係がどんどん同僚研究者に近づいていくんだろうなって外から見ていると思いますね。 |
学位プログラムの強み
清水:国際公共政策学位プログラムを出た人の強みとか特徴ってどんなのだと思います? |
渡邊:ほかの大学院もそうかもしれませんが、このプログラムにいる人って、自分の研究にぐっと入り込んでやっている人がたくさんいる様な気がします。真面目というかなんというか、そういったところがあるなと私は思っていて、自分がそうだったかちょっとわかんないですけど…。 |
清水:でもちゃんとやっていたでしょう。 |
渡邊:どうだろう、できていたらいいんですけど。 このプログラムに来た人って、研究がしたくて入ってきた人が多いイメージがあるし、大学側もいい意味で割とほったらかしてくれると思いますね。 |
渡邊:大学院のカリキュラム自体が、とにかく研究に向き合って、学位論文を書いていくためのものだったと感じています。そのなかで、一人でも上手くやって行く人が多かった気もするし、それは一つの強みだと思いますね。 |
清水:確かにその傾向は強い気がする。 |
渡邊:自分で何かをしようとして、実際にこなしていく人が多いと感じます。 他の大学に入ったことがないから、うちだけの特色かはわからないですが、やらなきゃいけないことを見据えて、軸をもって一人でやり遂げていくってのはあると思う。 |
清水:うん、うん。 でも僕、結構かまちょだから、たまにそれをやらなきゃいけないのが寂しいときがあるんだよな。 |
渡邊:それは私も、一人でやり続けるのがしんどい時間は多々ありました。だからこそよく院生室に行っていたし。 |
在学生、これから進学を考えている人へ
清水:じゃあ最後に、在学生とこれから進学を考えている人に向けて一言ください。 |
渡邊:いま在学中の人ですが、多分今かなりしんどいと思います。そんな中で、あまり頑張りすぎないで、健康に気を付けて、自分を労わってほしいです。 そして、学費を払ってまで来ているから当たり前っといえば当たり前なんですが、大学院に行って、好きに自分の時間を使ってモノを考えることができた時間は本当に、本当にいい時間だったなと今思います。ぜひその時間を最大限活用してやり残したことがないようにしてほしいです。それでいて、健康第一でもいてほしいと思います。この中で、どんな形や経緯であれ、乗り越えて修了しようがしまいが、ここでの経験を持っている人ならどこでもやっていけるんじゃないかなと思います。皆さん凄いことをやっているんだぞって、私が言ったからって何にもならないですけど、心の底からそう思っています。 |
渡邊:これから進学を考えている方へですが、筑波大学大学院の国際公共政策学位プログラムは良いところと言って嘘はないかと思います。 |
清水:すごい正直だな。 |
渡邊:今振り返ってみて、ほかの大学院の話とかもある程度聞いて知っていますが、「どこでも好きなところに入れますよ。どこにしますか?選んでいいよ」って言われたら、私はきっと筑波大学の大学院に進学すると思います。もちろん人が良かったっていうのもあるし、知っている人や先生がいるからというのもありますが、設備・環境が研究する場所として適していると思います。 |
清水:確かにね。 なんか、大学院選びに悩んでいる人にとっても、大学院に行こうか悩んでいる人にとってもこのインタビューは判断材料として参考になりそうだね。 |
渡邊:そうなるといいな。 大学院に行こうって思っている人は、ぜひ飛び込んでほしいなと思います。さっきの在学生に向けての話とちょっと内容が被りますが、ここでの2年間は短くもハードだと思うので、それを経験しておくだけでも価値はあると考えています。 文系の大学院を出た人ってそんなにいないので、ちょっとイレギュラーにはなりますが、そういう立場を知っておくのも良いのではないでしょうか。もちろん辛い思いもあると思います。が、ちょっとでも興味があったら、毎年やっている内部進学指導会や進学説明会を覗いてみたり、ホームページを確認してみてくれたらいいのかなと思います。 |
清水:おお、進学情報の集め方も教えてくれる良いOBだ…。 そして、これでインタビューは終了になります。 渡邊さん、長時間インタビューにお付き合いいただきありがとうございました。 |
渡邊:こちらこそありがとうございました。 |